日本ワインと料理

日本ワインと料理


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・ワインの飲み頃
・ワインと料理の相性の基本ルール
・主要5品種ブドウから製造した日本ワインの特徴と好まれる料理


 当JWINEシリーズ-日本ワインの基礎知識「日本のブドウ栽培」の項で既に述べたが、日本で収穫量が多い10品種の赤、および10品種の白ブドウ(2003-2013年の農林水産省特産果樹統計)は、マスカット・ベリーA、コンコード、メルロー、カベルネ・ソービニヨン、セイベル13053、ツバイゲルトレーベ、ヤマブドウ、ピノ・ノアール、ブラック・クイーン、カベルネ・フラン(以上赤ブドウ、ワインへの仕向量が多い順に記載)、甲州、ナイアガラ、シャルドネ、ケルナー、ミューラー・トルガウ、デラウエア、セイベル9110、セイベル5279、ソービニヨン・ブラン、ピノ・ブラン(以上白ブドウ)である。

 これらの赤ブドウと白ブドウの収穫量、ワインへの仕向量等を考慮すると、わが国の赤ワインと白ワインの生産量の比は、およそ2:3になるのではないかと思われた。この比は、最近10年間(2007-2016年)の日本ワインコンクールにおける、赤ワインと白ワイン(ロゼワインを含む)の出品数の比と同じ2:3となった。以上のことを踏まえ、「料理とワインの相性」を考察するときのワインの種別を、日本ワインコンクールのカテゴリーと同様に、赤(テーブル)ワイン、白(テーブル)ワイン、ロゼワイン、極甘口ワイン、スパークリングワインとした。下表に日本ワインの色調とそれぞれのワインの好まれる飲用温度および料理との相性を示した。


日本ワインの色調、飲酒温度と料理の例

*ブドウ品種とワインの熟成状態で異なる。



ワインの飲み頃

 ワインボトルを手にしたとき、最初に目につくのは、ワインの濁りと色である。それらは誰もがすぐに分かる特徴であり、まさに「目は口ほどに物を言う」類のものである。この場合、目の対象はワインの色と清澄さであり、口のそれは味、つまりフレーバーである。ワインの外観上の品質は、判断が容易であるにもかかわらず、意外に多くのことを物語る。製造後のおよその年数、苦味あるいは渋みの程度、熟成の度合い、あるいは管理・製造上等の問題である。ワインの濁りや色調は我々に何を語るのか。ワインの混濁の有無を例にすれば、大抵の場合、ワインの瓶詰め前、ワインが凍る直前の温度で数日間冷やされ、生じた濁りや酒石は除かれた後、瓶詰めされる。このような処理によって、タンニンが大過剰にでも存在しない限り、後にワインに濁りを生じることはない。もし市販ワインに濁りがあれば、製造中に何らかの問題が発生した可能性がある。

 気に入ったワインを手に入れた消費者の中には、さらに熟成し、品質を高めようと、湿度や温度を制御できる高価なワイン貯蔵庫を用意し、大事に長期間保存を試みる人もいる。しかし、いくつかのワインを除き、貯蔵して品質がよくなる日本ワインは多くない。たとえば、アルコール含量の少なく(1012%)、ライトでフルーティーであるが、アロマに乏しい白ワインは長く熟成させる必要はない。このような白ワインのアロマは通常2年以内に魅力を失う。同様に、甲州白ワインは、バラエタルアロマが少なく、低温(約10℃)発酵させて生じたエステル(バラエタルアロマではない)に起因する華やかな香りは、低温貯蔵しても急速になくなってしまう場合もある。一方、フレッシュさやフルーティーさに乏しいが複雑味のあるセミ・フルボディーの白ワインは、熟成によってある程度品質が改善される。十分なボディーと強い特性をもつフルボディーの白ワインは長い貯蔵にも耐え、長期保存が可能かもしれない。

 ナイアガラやデラウエアのようなラブルスカ種ブドウから造った白ワインは、木樽中で熟成しても滅多に品質が改善されないので、手に入れたときが飲みどきと思ったほうがよい。ヘビーで甘口の白ワインは長い熟成で品質が改善される場合があるので、個々のワインで経験してみるのもよいかもしれない。ロゼワインは、白ワインと同様、家庭でさらに熟成を続けても滅多に品質が改善されることはない。

 白ワインに比べ、赤ワインはポリフェノール含量が高いので、長期の熟成で品質を改善できる可能性はある。しかし、ライトボディーで、果実の香りを売り物とする赤ワインは、手に入れたときが飲み頃と思ったほうがよい。フルボディーの赤ワインは、赤色色素やタンニンが多く、苦渋味が強く、長い瓶熟成が効果的な場合もあるが、通常、12%以上のアルコール濃度と0.6%以上の酸度が必要である。赤ワインならば、長期の熟成で品質が必ず改善されるといった認識は改めねばならない。ワイン製造メーカーが売り出したときが飲み頃と思ったほうが無難である。並級ワインをさらに長期間熟成しても、品質が並みのワインから金賞ワインは生まれない。あるワインメーカーで製造した日本ワインの場合、販売開始時を基点とし、酒質に大きな変化がなかった貯蔵年数は、スパークリングワインと欧州系ブドウ赤ワインが45年、樽発酵あるいは樽熟成した赤と白ワイン、甘口白ワイン、シュール・リーワイン、またアメリカ系赤ブドウワインは34年、欧州系ブドウ白ワインは3年、欧米雑種ブドウ系赤ワインとアメリカ系白ブドウワインは23年であった。

 ワインのボトル内貯蔵は、酸素のない、極めてゆっくりした速度で進む還元的熟成である。貯蔵に際し、特に重要なのは、温度と光と振動である。温度が上がれば、種々の反応が活性化され、熟成が進み過ぎ、逆に品質が劣化する可能性がある。従って、10℃以下での貯蔵が、若いワインのフレッシュさと果実香を維持するのに必要である。30℃では芳香成分が急速に分解される。30℃での貯蔵によって、数ヵ月以内にワインから新鮮さ、果実香、芳香が消失し、ほとんどのワインの品質は劣化する。さらに高温では、褐変(メイラード反応)が進行し、沈殿を生じ、褐色となり、またベークドフレーバーがつく。温度とともに光と振動がワインの品質に影響する。光をワインに直接あてると、近紫外線と青色光線が酸化反応を促進し、スカンクに似たにおい(イオウ化合物の生成)を出すことがあるので、ワインは可能な限り、暗所で貯蔵されるべきである。

 次に、ワインのボトル内熟成について、ポリフェノールを例にとり、化学的な見地より述べてみよう。やや専門的過ぎるので興味ある方のみお読みいただきたい。ワインポリフェノールを大別すると、果皮や種子に含まれるカテキンやアントシアニンに代表されるフラボノイド型フェノールと、ブドウ果汁に含まれるコーヒー酸やカフタリック酸に代表されるフェノール酸(非フラボノイド型フェノールという)がある。ワインの非フラボノイド型フェノールの組成は、ワインの製造に用いた果汁のそれとほぼ同じである。ワインの多様性を決めているのはフラボノイド型フェノールで、このグループには赤色や赤紫色のアントシアニン、無色のカテキンやプロシアニジン(カテキンがいくつか結合したもの)、プロアントシアニジン(二量体以上ならば無色だが、加水分解すると赤色のアントシアニジンを生成するもの)、そしてタンニンがある。タンニンとは、化学構造に基づいた化合物名ではなく、動物の生皮を革になめす性質をもつ植物ポリフェノールのことをいう。ワイン製造直後の、非常に若い赤ワインには(赤ブドウ果皮から移行した)アントシアニンがあるが、熟成が進むと徐々に減少し、アントシアニンダイマー(二量体)やプロシアニジンと結合した形で存在する。さらに610年後には、単量体であるアントシアニンそのものは存在せず、他のフェノールと結合した形で存在するので、ワインの色調は変わる。カテキンは苦味をもつが、渋みはない。しかし、カテキンが二量体以上になるとタンパク質を沈殿させる能力をもち、タンニンと呼ばれるようになり、渋みが出てくる。熟成中、タンニンは徐々に大きな分子になり、それとともに渋みが増す。4つのカテキンに相当するテトラマー(四量体)が最も苦渋味が強い。タンニンの分子量がさらに大きくなると、ワインに溶けているタンパク質と一層結合し易くなり、多くのタンニン-タンパク質複合体ができ、濁りや沈殿になる。ワインからタンパク質を分離すれば必ずといっていいほどタンニンが結合している。さらにワインを熟成させ、カテキン単位で約10個が結合したポリマー(多量体)になると、不溶化して沈殿し、ワインの苦渋味は弱くなる。従って、ワインをあまり長く保存すれば、赤色が消失するばかりか、すべてではないが、溶けているポリフェノールそのものが消失するのである。


 ワインと料理の相性の基本ルール

 ワインを飲むための基本のルールがある。複数種のワインを飲むとき、白ワインで始め、赤ワインで終わるのである。さらに詳しく言うと、軽いワイン、若いワイン、辛口ワインは先に飲み、その後、熟成したワイン、甘口ワイン、渋みや甘味が強いワインへと移るのがよいとされる。もう一つのルールは、同じタイプのワイン、あるいは品質が類似したワインならば、品質の良いワインや最上のワインを先に飲まないことである。上表で示したように、ワインを飲む場合、軽口(ポリフェノール量が少なく、渋みがおとなしく、フレッシュ)ワインほど低い温度で、重口(色濃く、ポリフェノールが多く、強い渋みと十分なコク)ワインほど高い温度で飲むように勧められている。これは、苦味と渋みの程度は、ワインを飲むときの温度に左右され、温度が低いとき、より強く苦味や渋みを感じるからである。たとえば、同じ赤ワインを10℃、18℃、22℃で飲んだとき、10℃で十分なコクと強い渋みに、18℃で柔軟でスムースな味に、22℃ではホットで薄い味に感じられる。これが“多量のタンニンを含む赤ワインは室温近くでサービスされる”理論的根拠の一つになっている。これらのルールは、食事の途中で、人の感受性が減少し、感覚が鈍くなることを考慮したものである。

 ワインと料理の相性の基本は、いずれか一方が優勢にならず、両者が互いに釣り合い、可能ならば好対照になることである。料理(固形物)と飲み物(液体)の間に釣り合いが求められる。具体的に言えば、淡白な味の料理には軽いさっぱりしたワイン、逆に濃厚な料理には重い、濃いワインが合う。さっぱりした味の軽いワインから、順次、濃厚で重いワインに移るのがよい。料理とワインの組合せの基本は、ソースとワインの関係にも当てはまり、白色系、赤色系、軽い、重い、を一致させるのがよいとされる。例を示せば、白色系ソースと白ワインの組合せがよいということになる。

 赤ワインの濃い色調は、アントシアニン(赤色ポリフェノールの学術名)やそれに関連する色素重合体(同じポリフェノール分子、あるいは異なったポリフェノール分子が結合したもの)であるが、それらは苦味や渋みにもなる一方で、コクや芳醇さに間違いなく貢献している。苦味は、ブドウ果汁中のフェノール酸、そして果皮・種子から溶出したカテキンやアントシアニン等のポリフェノールが重合したタンニンから生じるが、渋みは主にタンニンによって起こされる。渋みは本当の味ではなく、口中の感覚で、唾液中の糖タンパク質が一種の収斂剤である渋み物質、タンニンによって不溶化され、唾液の粘性が減少し、口内表面の滑らかさを失わせるために起こる現象である。赤ワインの全フェノール量の範囲は広く、渋みの程度も様々である。一般に、穏やかな渋みをもつ赤ワインは1,300 mg/ℓ以下の全フェノールを含み、コクのある赤ワインには約1,400 mg/ℓ以上が含まれ、2,000 mg/ℓを超えると、ほとんどの人にとっては渋すぎるワインとなる。

 赤ワインは、香味の面から二つに分けられる。軽口(ライトボディー)赤ワインと重口(フルボディー)赤ワインである。赤色が薄い赤ワインや非常に古い赤ワインは、若い肉、仔牛あるいはラム(仔羊)肉、家禽、また鳥肉料理とともに飲めばよい。健全に熟成させた赤ワインや非常に香りがよく、渋みの強い赤ワインは、牛肉、羊肉、鳥獣肉のような赤肉に合うが、魚肉には合わない。赤ワインは、塩味の料理や甘い食品とは一緒に飲まないほうがよい。これらの味は赤ワインのタンニンを一層強くし、苦くするからである。

 白ワインは、赤ワインと同様に、驚くほど多様性に富む酒である。例えば、ミディアムドライ白ワイン、甘口白ワイン、そして白デザートワインの存在である。2、3の例外はあるが、様々な料理に合う白ワインを見つけることができる。一般に、白ワインにとって好ましい品質は、明るい色、ブドウ由来のアロマ、喉の渇きを癒してくれるフレーバー、フレッシュな酸味、糖(があれば)の甘味であり、ワインを冷やして飲めば、冷たさもまた擬似の‘味’になる。白ワインは殆ど色のない料理、たとえば白肉(食肉、魚、家禽)や、白色または黄色のソースが合う。さらに述べれば、白ワインの明るさ、軽快な呈味(タンニンの少なさ)と滑らかさ(流動性)は、繊細な料理に合いやすく、甲殻類用ワイン、魚類用ワインといわれる一方、強い香味の料理には合わない。ロゼワインは辛口白ワインの代わりをする。色の薄い赤ワインはほとんどタンニンを含まないワインであり、冷やせば、少なくてもロゼワインと対等である。

 さて、日本では甘口赤ワインをよく見かけるが、諸外国で甘口といえば白ワインである。やや甘口及び甘口白ワインは、風味のある料理、仔牛や子羊の胸腺、クネル(西洋風すり身だんご)、魚と鳥肉料理、ブルーチーズ等に合うといわれる。古いデザートワインは甘く酸っぱい料理等にも合う。


 主要5品種ブドウから製造した日本ワインの特徴と好まれる料理

 ワイン先進国で収穫されたヨーロッパ系ブドウから製造されたワインの品質や、それらと料理との組合せは、多くの言語で微に入り細に入り書かれ、また日本語で書かれた解説書も容易に手に入る。しかし、アメリカ系ブドウであるコンコード、ナイアガラ、またデラウエアから製造されたワインや、日本でのみ収穫されている甲州ブドウやマスカット・ベリーAブドウから製造されたワイン並びにこれらと料理との組合せに関する解説や記事はほとんどなく、あったとしてもヨーロッパブドウワインの立場から書かれているのがほとんどであり、さらにそれらが定説になるまでにはなっていない。そこで、これらの品種の市販ワインのテイスティング結果に加えて、各ワインメーカーのパンフレット等を参考にし、下記の表を作成した。


主要5ブドウ品種から製造した日本ワインの特徴、飲酒温度と好まれる料理の例


 ビティス・ラブルスカ(アメリカ系ブドウ)のにおいは、ワインを全く知らない人でも間違いなく分かる特徴的なものである。主に、メチル-あるいはエチル-アンスラニレートという化合物により特徴付けられるアロマ(ブドウに由来する香り)であり、フォクシーフレーバーといわれ、それはウェルチブドウジュースのにおいである。このにおいは、コンコードとナイアガラワインで強く、デラウエアワインでは弱い。ある消費者にとって、ラブルスカ臭は、好ましくない‘におい’である。ある消費者とは、ビティス・ビニフェラ(ヨーロッパ系ブドウ)のフレーバーを好む人、あるいはビティス・ビニフェラのフレーバーに慣れている人のことである。このような人は、ラブルスカ臭を狐臭と書く。古い書物の中に、ビティス・ラブルスカワインに"獣穴“臭があるとの記述があるらしいが、これを誤って引用したか、あるいは経年劣化したラブルスカワイン、あるいは製造ミスしたラブルスカワインのにおいを嗅いだのが発端であろうともいわれている。なぜ、ここで、ビティス・ラブルスカをクローズアップしたのか。それは、次の理由による。日本ワインの主力ブドウ品種は、甲州(欧州系×東アジア系野生種)、マスカット・ベリーA(欧州系×ラブルスカ系)、コンコード(ラブルスカ系)、ナイアガラ(ラブルスカ系)、デラウエア(ラブルスカ系)の非欧州系(非ビニフェラ系)ブドウであり、これら各品種の1,000トン以上が毎年ワインになり、一方、欧州系ブドウでは、メルローとシャルドネ、それぞれ800トン前後がワインになっているが、その他の品種で400トン以上をワインにしているものはないからである。

 まず、コンコード赤ワインから説明する。このワインの特徴は、厚みのある味わい、独特の甘いフルーティーな香りと軽やかな酸味であり、渋みが弱く複雑味があることである。適合する料理は、著名なヨーロッパ系ブドウから製造した赤ワインに合う赤身の肉料理ではなく、オードブルからチーズケーキ等のデザート類まで幅広く存在するといわれる。。飲み頃温度は、白ワインを飲む最適温度から赤ワインの飲酒温度まで、温度域は広い。通常、ワインのタイプを記述するとき、白ワインは辛口、中口、甘口、赤ワインは軽口、中口、重口とするときが多いが、コンコード赤ワインの場合、製造メーカーのパンフレットには、両者の表現が併用されている。コンコード赤ワインは、かなり独自性が強く、日本においては、ヨーロッパブドウワインとは異なった独特の発展の道を歩んでいるのであろう。

 ナイアガラ白ワインもまた、コンコード赤ワインと同様にラブルスカ臭が強く、独特の華やかな甘い香りで、コクがあり、口当たりのよい甘美さがある。市販ワインのほとんどは甘口あるいは極甘口で、8.511%程度のアルコールを含んでいる。飲み頃温度は、上表中、5-10℃としたが、これはワインの甘さから推定したものである。このワインに相性のよい料理は、ヨーロッパ系ブドウから造った極甘口ワインにしっくりくる果物やアイスクリーム等のデザートと大きな違いはないように思える。

 ここで取り上げたもう一つのラブルスカ系のデラウエアブドウのフォクシーフレーバーは、ナイアガラやコンコードブドウと比べれば非常に低い。日本では、このブドウ品種の収穫量が最も多いが、ワインになるのは全収穫量の約10%以下しかない。このブドウから、僅かにフォクシーではあるが、心地よい癖のない白ワインができる。ワインタイプは辛口からやや甘口まで、アルコール濃度は8.512.5%、風味はフレッシュからトロピカル・フルーティーまで幅広く、相性のよい料理も、野菜から魚介類、白身の肉料理まで広く対応できるといわれている、いずれの観点からも多様性に富んだワインが造られている。この多様性が、デラウエアワインを特徴のない、印象が弱いと思われるワインにしているのかもしれない。

 ベーリー(アメリカ系)とマスカット・ハンブルグ(ビニフェラ系)の交配種であるマスカット・ベリーAは、日本赤ワインの主力品種である。種々のビニフェラ系赤ワインの全ポリフェノール量とマスカット・ベリーA赤ワインのそれとはそれほど大きな違いはないが、アントシアニン量や渋みの程度は前者のほうがずっと強い。すなわち、海外のビニフェラ系赤ワインに比べ、このワインは、ボディーの厚み、赤色の濃さ、渋み(タンニン)が弱い印象がある。逆に、ライト~ミディアムのボディで、軽く、程よい渋み、穏やかな酸味、柔らかなフレーバーで心地よいと評価されてもいる。市販のほぼすべてのマスカット・ベリーA赤ワインは辛口で、アルコール濃度はほぼ12%であり、飲み頃温度は1218℃と広域に渡るので、料理に合わせた温度で飲めばよい。白ワインと赤ワインの中間的なアロマやフレーバーをもつので和食にも合わせやすく、相性のよい料理は、魚介類、焼き鳥から白身の肉料理、さらに赤身の肉料理まで幅広い。

 山梨県を中心に栽培されている甲州白ワインは、今や、日本ワインを代表するワインにまで成長した。甲州ワインの透明感のある淡い黄色、穏やかで爽やかな飲み口は、他のワインとは一線を画す上品さがある。さらに、樽発酵、樽貯蔵により、ふくよかな味わいと繊細なフレーバーが加わり、またシュール・リー製法によりイースティーでふくよかな香りと味わいが追加された。このワインのアルコール濃度は11-12%であることが多く、飲み頃温度は8-10℃であるが、樽発酵や樽貯蔵された場合、やや高めの12℃程度までが飲み頃とされている。甲州ワインの生い立ちや風味から、このワインこそ和食に最も適したものといわれている。このワインと相性のよい料理が、魚介類(刺身、寿司)、野菜のてんぷら、煮物、白身の肉料理であることから自明の通り、和食に合うワインの代表といって差し支えなかろう。

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