更新日:2022年03月22日
日本におけるワイン用ぶどうの栽培方法
また、日本のワインは、生食用のぶどうからワイン造りをするワイナリーも多く、現在も棚栽培が全体の7割近く使用されています。
ぶどうの樹の仕立て方について
棚仕立てについて
日本の伝統的な栽培法でぶどう狩りなどでもよく見るのがこの棚仕立てです。
生食用のぶどうや、日本固有品種の甲州、マスカット・ベリーAはこの栽培が多く使用されています。
イタリアやポルトガルなど一部の地域でも棚仕立て(ペルゴラ[伊])と呼ばれる同じ仕立て方が用いられています。
メリット | 湿度の高い地域では枝や果房が地表から離れることで、湿度から守られ病害虫も防ぎやすくなる。日差しの強い地域では強い日照から守れるなど。マスカット・ベーリーA、ブラック・クィーン、ヤマブドウ、山幸、ベーリー・アリカントなど |
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デメリット | 整枝や剪定に熟練の作業を要する。 1本の樹からの収量が多くなるため果実の完熟度が低くなりやすく、機械化が難しい。 |
棚仕立ての種類
X字型仕立て
平棚という設備を用いて平面いっぱいに枝を配置します。4本の主枝をX字形に伸ばす整枝法。剪定や新梢の管理に高度な技術が必要となる。
さまざまな品種でコントロールがしやすく、安定して育てることができる。
新芽が伸びやすい土壌では適用が難しい。
一文字型短梢仕立て
2つに別れた主枝から新梢が左右に伸びるように枝を整える。
骨格枝を作るのが簡単、最初の収穫まで2~4年
元と先端と果実のバラつきが大きい
H字型短梢仕立て
主幹を2本とり真上からみてH字になるように仕立てます。その後は一文字短梢と同じように新梢が左右に伸びるように枝を整えます。
一文字に比べ樹勢が安定している、枝の管理が簡単。水分コントロールができる。粒の肥大化を防ぎ凝縮したぶどうを結実することができる。
骨格枝の完成に年数がかかる。最初の収穫まで3~5年。
垣根仕立て
1980年ごろからヨーロッパ系品種の栽培に導入されており、1990年代以降は、日本各地でも垣根仕立てが増加しました。
収量をコントロールするのが容易にでき、品質に直結することから質の高いぶどうの生産が見込まれます。
メリット | 果房に日光が当たりやすく風味が凝縮したぶどうが期待できる。樹の管理がしやすい、収量が調整しやすい。また、収穫作業が楽に行える。 |
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デメリット | 樹勢が強く作業が大変なこと。収穫量が少ない。 |
垣根仕立ての種類
ギュイヨ(ギヨ)・
サンプル式
長梢と短梢を1本ずつ整える方法。フランス、イタリア、ドイツなど欧州で広くみられる仕立て方です。
長梢を毎年入れ替えていくため定着まで時間はかからない。
作業に熟練度が必要。
機械的な剪定がしにくい。
ギュイヨ(ギヨ)・
ドューブル式
長梢を2本左右にとって整える方法。 左右に広げて誘引します。水平に広がる枝が2本あるからドゥーブル(=ダブル)と呼ばれています。
長梢を毎年入れ替えていくため定着まで時間はかからない。
作業に熟練度が必要。
機械的な剪定がしにくい。
コルドン(コルドン・ド・ロワイヤ)式
垣根式の短梢剪定として世界で広く採用されています。主幹から枝を左右に分け、その枝に2芽の短梢を等間隔に整える方法。
剪定が簡単なため剪定時間が短縮できる。
樹勢が強く開花しても受粉が上手くいかず結実しない事がある。収穫時期が遅くなる。